やってみた!『無意識を鍛える』梯谷幸司著

人間の意識には、表面的で知覚できる「顕在意識」と、その奥にあって知覚できない「潜在意識」と、さらに無意識を入れる器である「メタ無意識」があります。
この無意識は、知らず知らずのうちに身に着けてしまっている思考のクセなのですが、実は鍛えることができるというのが、梯谷幸司先生の『無意識を鍛える』という本です。
私達は自分の「限界」を自ら設定しています。そして潜在意識は限界に近づくことを嫌うため、限界に近づくと脳がブレーキをかけ始めるのだそうです。この「限界」は思い込みです。自分で勝手に作り出しているのです。だからここを変えればいい。そのために必要なのは、「いけるかも」という感覚なのです!
ということで、『無意識を鍛える』を実践してみました!
1~30年後の自分の将来像を描く
ワーク1は「1~30年後の自分の将来像を描く」というもの。これは、脳が答えが出ないことを嫌うため、脳に問いかけて答えを探すための準備体操です。ビジネス面、プライべート面を分けて、1年後、3年後、5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、30年後を書き出します。
さらに、どうしてそれが欲しいのかも書き出します。実は、「何のために?」を考えるのが一番大切。脳は、理由のわからないことはやりたくない。逆にやるべき理由が分かると、きちんと働いてくれるのです。
1年後、3年後あたりは何とかなるのですが、20年後、25年後、30年後と刻んでいくと、いつどうするかというのを決めるのが難しい…
過去のネガティブな出来事を10個洗い出す
世の中の神話は、たいてい主人公が挫折から這い上がるというあらすじです。実は、私達の生きる目的や役割は、失敗から見つけ出すことができます。そもそも「脳」は私たちの使命を全うして欲しい。だからきちんと指令を出せば、それに必要なものは集めてくれます。なのでこの「過去のネガティブな出来事を洗い出す」というワークが必要になります。
過去にどんな失敗や挫折があったか?
そこからどんな影響があったか?
過去を振り返るワークというのはよくあると思いますが、過去の失敗を思い出すという作業は、あまりやらないのではないでしょうか。ネガティブな記憶はそこに人生の教訓があるという目印です。過去の失敗を眺めてみて、ネガティブな感覚をポジティブにひっくり返して解釈することが、失敗から学ぶ本当の意味なのです。
未来の記憶を思い出す
アインシュタインがこう言っているそうです。「過去、現在、未来。すべては幻想である」。そもそも”時間”というものが存在しないのだとか… 未来の記憶は、脳科学の世界では「潜在記憶」と呼ばれています。そこに「本当の自分」の記憶があるのだそうです。
このワークは、偉人の名言を探して、その中で自分が理想とする生き方をしている3人を選びます。その3人を合体させて1人の人格として生きた場合、死ぬ直前にまわりの人があなたをどう評価しているかを振り返るワークです。
潜在意識にアクセスする
4回目は、夜寝る前と朝起きた直後に、5分でいいので3回目のワークで作った「本当の自分」の記憶を創造するワークです。
本当の自分でいるときに、健康もプライベートもビジネスもうまくいくのです。重要なのは、自分が人生に何を望むかではなく、人生が自分に何を望むのかを知ることなのです。
自分の売りをあぶり出す
5回目は自分の売りをあぶり出すというもの。アメリカで60歳以上の資産家に「あなたは幸せですか?」とアンケートした結果があります。なんと8割以上が「幸せではない」と答えたそうです。
その理由が3つあります。
1)勝ち負けのルールで動いていた
2)他者との比較で動いていた
3)やりたいことをやってこなかった
自分のやりたいことをすることは、自分の売りを売っていくこと。そこで、自分の売りは何かを考えるのがこのワークです。やり方は、まずこれまでに洗い出した「本当の自分」と「現在の自分」を比較して、どんな差があるか10個以上書き出します。そして、その差を埋めるスキルを開発したとして、それは世の中のどんな人のどういう幸福につながるかを考えます。
そのスキルのうちどれを優先的にやりたいでしょうか。ビジネス面をプライべート面、それぞれで考えます。それがあなたの「売り」になります。人は何かしらかけている部分を持っています。その欠けた部分こそが、売りになるのです。差を埋めるスキルを開発して、世の中に伝えていく役割があるのです!
必要なリソースを洗い出す
6回目は必要なリソースを洗い出すというもの。どうすれば自分の価値を世の中に広められるか?問いがあるところに答えがあるので、まず問うことが大事です。
そこでぜひ使いたいのが「集合的無意識」です。「集合的無意識」には偉人たちの知恵も詰まっているので、そこにアクセスすればいいのです。自分の価値を世の中に広めるために必要なリソースを洗い出します。
・物質的なもの
・環境
・人間関係
・知識・情報
・健康状態
・体験
・感情
これをエクセルにまとめて具体的に書きだし、何のために必要なのかその理由も書きます。「本当の自分」の潜在意識は、自分自身に使命を全うして欲しいので、そのために必要なものはちゃんと集めるのだそうです。
「何のために」を深掘りする
7回目は「何のためにそういう自分でいたいのか?」を深堀するワークです。潜在意識には、情報が映像で保存されているそうです。ですから、本来の自分を絵にするとよいです。そして言葉の追い付かない領域まで「何のために」を深掘します。
人に認めて欲しいことが起点になると、人生に問題が生じます。他人から認めてもらいたいという「承認欲求」を求めてもうまくいきません。自分がどのように存在するかが大切なのです。自分で自分を否定したままで成功してしまうと、ダメな自分が人気が出てはいけないと、裏の自分が表の自分を壊しにきます。
そこに「自己決定感」はあるか
8回目はそこに「自己決定感」はあるかを探るワークです。本来の自分が表現できないと感じた時、ネガティブな感情が出てきたり、結果に一喜一憂する場合は、自己決定感がない証拠です。ですから、本当の自分でいるためにそれを本当に心の底からやりたいか、問いかけてみる必要があります。
もし「自己決定感」がないのであれば、何が原因なのか探っておきます。必要なリソースがあるなら、それをクリアにします。必要なものが多ければ多いほど、集まるお金は比例します。脳は「必要ならお金を集めればいい」と動くのです。
自分のメタ無意識を調べる
9回目は自分のメタ無意識を調べる方法です。人類の進化の中で、脳は自分の動きを観察し、「私はこんな人が」という信じ込みを作るようになったといわれています。
本来、脳の中の潜在意識は、集合的無意識と連携しているようです。ただし、集合的無意識をそのまま反映するのではなくて、一度自分のフィルターを通して、情報を加工している。
外部の現実世界
↓
(五感)
↓
五感情報
↓
メタ無意識
↓
潜在意識/顕在意識
メタ無意識は13のカテゴリーに分けられます。
あなたはどちらでしょうか?
①主体性 主体的行動型/反映分析型
②動機づけの方向性 目的志向型/問題回避型
③喜びの判断基準 自分基準/他者基準
④思考の方向性 未来基準/過去基準
⑤動機づけの選択理由 オプション型/プロセス型
⑥人間と物質 物質タスク重視型/人間重視型
⑦目的の焦点 目的基準/体験基準
⑧責任の所在 自分原因型/他者原因型
⑨物事の捉え方 楽観基準/悲観基準
⑩判断するときの心理状態 実体験型/分離体験型
⑪それは誰が決めたのか? 欲求/義務
⑫自己認識 絶対的自我/限定的自我
⑬本気度合い 結果期待型/結果行動型
つまり、何かをやろうとするときに
すぐに行動するか?
目的があるとモチベーションが上がるか?
そのモチベーションは他人を必要とするか?
「なぜ」ではなく「何のために」と考えられるか?
自分で方法を編み出したいか?
達成されたときにそのあとのことに焦点が当たるか?
体験したあとのことに焦点があたっているか?
全ては自分の責任だと思えるか?
失敗したときに面白いと思えるか?
自分の信念でやりたいと思えるか?
「べき」で動いていないか?
うまくいかなくても自分は完璧と思えるか?
目的のために今行動しているか?
ということです。
脳と無意識は無駄な労力を嫌います。無意識を整えて、潜在意識にやる気を出させる言動をとりましょう!
脳は動きを見せないと信じ込みを作らない
10回目は効果的なメタ無意識を組み合わせるイメトレワークです。メタ無意識は13のカテゴリーに分けられますが、本来の自分になるためには、効果的なメタ無意識に切り替える必要があります。
①主体的行動型←反映分析型
②目的志向型←問題回避型
③自分基準←他者基準
④未来基準←過去基準
⑤オプション型←プロセス型
⑥物質タスク重視型←人間重視型
⑦目的基準←体験基準
⑧自分原因型←他者原因型
⑨楽観基準←悲観基準
⑩実体験型←分離体験型
⑪欲求←義務
⑫絶対的自我←限定的自我
⑬結果期待型←結果行動型
脳は動きを見せないと信じ込みを作らないので、「私はこういう人だ」と実際に演じて見て学習させる必要があります。未来を想像して、イメージトレーニングをするのです。とにかく脳を本気にさせないといけません。引き寄せがうまくいかない原因は、やはり「本気度」だと思うのです。
自分のクライテリアを操作する
11回目は自分のクライテリアを操作するワークです。クライテリアとは、価値の優先順位。あなたが重要視していることです。人は興味のないことに時間も労力も使いたくありません。
同じ仕事でも、価値の優先順位は人それぞれです。ですからお金儲けをしたかったら、「お金」の価値の脳の中の優先順位を上位においておかなければなりません。求めていない価値は入ってこないのです。
ワークとしてはまず、本来の自分でいるためにはどういう価値を重要視するかを10個ほど挙げます。その中から最優先の5つを選んで、1位から5位まで並べます。今の自分はその価値を満たしているでしょうか。満たしていない場合、満たすためには何が必要でしょうか。
価値の優先順位が本来の自分が望む状態にあっているかどうかが、脳が本気になるかどうかの分かれ目のひとつです。
本来の自分でいるための予算書の作成
12回目は本来の自分でいるための予算書の作成するワークです。まず、本来の自分として存在するためには、どれくらいの予算が必要か考えていきます。
1年後、3年後、5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、30年後それぞれの理想の自分でいるために必要な物質的環境、望ましい人間関係、必要な体験や行動、振る舞い、必要な健康状態、感情の管理、身に着けるべき知識、情報、能力、戦略など、達成するために必要なものの内容を書き出します。
そして、
①トータルでどのくらいの費用が掛かるのか
②支出の目的はなにか
をエクセルでまとめていきます。
脳と無意識を鍛えるためには、リアル感が必要です。潜在意識はその人にミッションを果たしてもらうのが目的ですから、そのために必要なものは集めてくれるのです。
自分の人格構造をコントロールする
13回目は自分の人格構造をコントロールするワークです。人格とは、自分はどういう環境、行動、知識、戦略、信念、価値観、自己認識でいるかです。人格の投影として現実が作られます。
人格の構造レベル(ニューロロジカルレベル)は次のような構造になっています。
一番下から
環境レベル
行動レベル
知識・戦略・能力レベル
信念・価値観レベル
自己認識レベル
1年後、3年後、5年後、10年後、15年後、20年後、25年後、30年後それぞれの理想の自分の状態を作り出すために、どういう状態が効果的か、ニューロロジカルの各レベルを考えていきます。
次に自信度合いを測ります。1年後に本来の自分でいる自信度合いが最高で100%だとしたら、今何%ぐらいでしょうか。何が足りないのでしょうか。人生がうまくいく人は、このニューロロジカルレベルの方向が統一されているのです。
自信度合いを自分でコントロールする
14回目は自信度合いを自分でコントロールするワークです。自分の思う通りに現実を動かすためには、「いけるかも」という感覚が必須です。前回のワークで人格の構造レベル別に、1年後から30年後まで望む状態を作るために必要な人格の構造を洗い出しました。
たとえば年収1億円が必要だったら、1億円集める自信度合いを%にしてみます。1億稼ぐ自信度合いが50%だと、倍にしたら100%です。自信度合いが70%だったら、倍にしたら140%です。すると年収はどうなるでしょうか?こういったことをゲーム感覚で考えてみます。
自信度合いも自分が管理するのだ、という「感覚」をつかんでいきます。これで、「無意識を鍛える」の前半部分は終了です。後半は実践的トレーニングになります。